年間300本映画オタク

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上半期最高の映画!?

日本で4月1日に公開された映画『チタン』
映画好きの方々にとって、微かに注目を浴びていた映画です。
監督はRAW〜少女のめざめ〜で一躍有名になった若く美しい女性監督ジュリア・デュクルーノ
チタン監督.jpeg
芸術的、前衛的映画の祭典カンヌ国際映画祭では、パルムドール賞を受賞し、世界にその存在を知らしめました。

簡単なあらすじ
主人公であるアレクシアは幼少期の事故によって、脳の手術によって頭蓋骨にチタンを埋め込まれたことで、車に異常な執着心を抱くようになる。そして彼女は数ヶ月に渡り複数の男女を殺害したことで、連続殺人犯として報道される。そんな中、彼女の膣からエンジンオイルのような液が流れ出し、不審に思って妊娠検査薬を試したところ妊娠と分かる。そしてそんな彼女は、逃亡犯として行方不明の少年になりすまし、その父親である消防士の所長ヴァンサンと出会うのだが...

あらすじだけでも、異様な物語と推測できるでしょう...
実際、何の前情報も入れず映画館に足を運んだ私は、上映中に何度も目を逸らそうとしたことか...
まさかこんな映画だなんて!と観るのを後悔したほどです。しかし、不思議なことに段々とそのチタンの物語の中に入り込んでしまうのです。

痛々しいほどに魅力が生まれる映画!



何と言ってもこの映画は痛い!
もちろん殺害シーンのグロさもそうですが、中絶するために腹をボコボコ殴るシーンだとか、変装するために鼻を洗面所の角のぶつけて折るシーンだとか...とにかく、視覚的にも道徳的にも痛ましくて、見ていられないのです。苦手な人は嘔吐するレベルです...
しかし、そんな痛ましいシーンも、やがてアレクシアの純粋な愛に気付かされ、涙してしまうのです...

最高の世界観!音響!



この映画をパルムドール受賞まで導いたのは、この映画の映像美と音響が織りなす世界観でしょう。
全編通してSFチックな色とサイバー感。それが非現実的な魅力を出しているように思えます。
また、セリフの少ないこの映画で印象だったのは、音響です。登場人物の感情とストーリーの流れによって、鉄が擦れ合うような、忌々しい(いい意味で?笑)音が、雰囲気を醸し出しているのです。思え返せば、セリフよりも音響の方が多く使用されていた気がします。
このような映像美と音響が『チタン』を作り上げているのでしょう。

最後に



この映画は閲覧注意です。R15と定められていますが、個人的にはR18でもいいような気がしました。途中で離席する人がいてもおかしくないです。
見終わった後に、まるで私達も頭にチタンを埋められ、車に執着し、口の中に鉄のような味がするようになれば、この映画をもう一度見たくなってしまうでしょう。